この解剖記録の題材は架空企業です。実在の企業・団体とは関係ありません。
WorkFlowly(架空)
機能一覧と比較表が中心の誌面を解剖します。集客は比較検討中の人と課題に気づき始めた人の両方に向いている一方、サイトは片方だけを想定している状態を扱います。転換率の話を、サイト単体ではなく流入の構成から見ます。
この会社の設定
- 事業
- 中小企業向けの業務ワークフロー管理サービスという設定です。申請・承認・進捗管理をブラウザ上で行えます。創業4年で、有料アカウントは400社規模という設定を置いています。
- 想定顧客
- 従業員50名から300名の企業で、紙とメールによる申請作業に時間を取られている総務・情報システム担当を想定しています。導入を決めるのは担当者ではなく、その上長や役員であることが多い立場です。
- 現在の集客施策
- 「ワークフロー システム 比較」などの検索連動広告と、比較サイトへの掲載が中心です。加えて業界メディアへの記事出稿と、月2回のオンラインセミナーを行っています。
- 感じている違和感
- 無料トライアルの登録は毎月一定数ありますが、そこから有料契約に進む割合が伸びません。資料請求と料金についての問い合わせが多く、営業の対応工数が増えています。どこを直せばよいのか判断がつかない、というのが現在の違和感です。
解剖対象の誌面
この誌面は解剖のために作成した架空サイトの想定です。実在するサービスではありません。
すべての業務を、ひとつのワークフローに。DXを、もっと身近に。
WorkFlowlyは、申請・承認・進捗管理を一元化し、業務効率を大幅に改善するクラウドサービスです。今なら14日間、無料でお試しいただけます。
- 01メインビジュアル(ダッシュボード画面のイメージ)
- 02選ばれる理由(3点・各1行)
- 03機能一覧(32項目・アイコンつき)
- 04他社比較表(5項目・自社の欄に印が並ぶ)
- 05導入事例(3件・社名は「製造業A社」等の表記)
- 06導入の流れ(4ステップ)
- 07料金プラン(3種・最上位は「要問い合わせ」)
- 08無料トライアル訴求バナー
機械が読み取った事実
| ページタイトル | WorkFlowly|業務ワークフローをクラウドで一元管理 |
|---|---|
| 見出し(h1) | すべての業務を、ひとつのワークフローに。 |
| 機能一覧の掲載数 | 32項目(各項目の説明は10〜20字) |
| 料金の表示 | 3プラン中2プランに月額の記載あり。最上位プランは「要問い合わせ」 |
| 料金の単位と条件 | 「1ユーザーあたり月額」。最低契約人数・初期費用の記載は確認できず |
| 他社比較表の比較軸 | 5項目(機能数/スマートフォン対応/API連携/サポート/初期費用)。比較対象は「A社」「B社」表記 |
| 導入事例の掲載数と内容 | 3件。業種と従業員規模の記載あり。導入前の状況・導入までの期間の記載は確認できず |
| CTAの文言と数 | 4種・トップページ内に14か所 |
| 無料トライアルの条件 | 「14日間無料」の記載あり。クレジットカードの要否、期間終了後の扱いは確認できず |
| トライアル後の流れの記載 | 記載を確認できず |
| 「DX」「効率化」の出現数 | トップページ内に合計11回 |
| 対象企業の明示 | 「中小企業向け」の記載あり。業種・部門・役割の明示は確認できず |
- 所見1機能は多いが、自分の業務が変わる姿が浮かばない。
- 所見2比較表はあるが、比べたい軸で比べられない。
- 所見3試せるが、試した後の道筋が見えない。
集客は「比較検討に入っている人」と「これから課題を言葉にする人」の両方に向けて動いている一方、サイトの誌面は機能一覧と他社比較から始まり、前者だけを想定した順番になっていると読めます。セミナーや記事で初めて課題に気づいた人が着地すると、比べる前提を持たないまま比較表を読むことになります。有料契約に進む割合が伸びない理由が、トライアルの中身ではなく、登録した人の一部がまだ比べる段階に来ていなかったことにある可能性があります。転換率をひとつの数字として見ている限り、この差は平均に埋もれたままになります。
マーケティングの流れ(8段)
- ▸市場・顧客
対象は中小企業と読めます。どの部門の、どんな役割の人が日々使うのかまでは絞り込めませんでした。
根拠:「中小企業向け」の記載はありますが、部門・役職・現在の業務の進め方に触れた記載は確認できませんでした。
- ▸伝える課題
解決する課題は「非効率」「DXの遅れ」という言葉で示されていると読めます。読み手が今どの作業に時間を使っているかへの言及は限られています。
根拠:見出しに「DXを、もっと身近に」「業務効率を大幅に改善」があります。紙の申請書・押印・メールの転送といった具体的な作業を指す記載は確認できませんでした。
- ▸約束する価値
約束は「一元化」と「効率の改善」と読めます。どの作業がどう変わるかは、機能名から読み手が補う形になっていると読めます。
根拠:見出しは「すべての業務を、ひとつのワークフローに。」で、続く機能一覧は32項目・各10〜20字の説明です。
- ▸その根拠
根拠は導入事例3件と機能の数で示されていると読めます。導入前の状態が分からないため、何がどれだけ変わったかは読み取れませんでした。
根拠:導入事例には業種と従業員規模の記載があります。導入前の作業時間、導入までにかかった期間、実際に使っている機能の記載は確認できませんでした。
- ▸流入経路・広告
比較検討に入っている人を集める施策と、課題に気づき始めた段階の人を集める施策が並行していると伺えます。集めている段階が2つに分かれていると読めます。
根拠:設定資料に「比較語の検索連動広告」「比較サイトへの掲載」「業界メディアへの記事出稿」「月2回のオンラインセミナー」の記載があります。
- ▸Web上の受け皿
受け皿は機能一覧と比較表が中心で、すでに複数のサービスを見比べている人向けに組まれていると読めます。
根拠:トップページの構成は、選ばれる理由3点、機能一覧32項目、他社比較表5項目の順です。課題の説明から入るブロックは確認できませんでした。
- ▸期待する行動
期待する行動は無料トライアルの登録と読めます。登録した後に何をすればよいかの記載は確認できませんでした。
根拠:CTAで最も多いのは「無料で試してみる」です。14日間という記載はありますが、期間中に何をする想定か、終了後にどうなるかの記載は確認できませんでした。
- ▸計測する指標
登録数と有料契約に進んだ割合は見られていると伺えます。その2点の間にある段階について、何を見ているかは確認できませんでした。
根拠:設定資料に「トライアルの登録は毎月一定数」「有料契約に進む割合が伸びない」の記載があります。登録から契約までの途中で見ている指標の記載はありません。
- ▸競合との違い
違いは他社比較表の5項目で示されていると読めます。5項目は自社が優位に見える軸で構成されている可能性があり、読み手が自分の判断軸で比べる材料としては足りない可能性があります。
根拠:比較軸は機能数・スマートフォン対応・API連携・サポート・初期費用の5項目です。運用を始めるまでの手間や、既存の申請ルールへの適合といった軸の記載は確認できませんでした。
1ページだけ直すなら
1ページだけ選ぶなら、料金ページです。トライアルに登録する前に費用の全体像が分からないと、担当者は社内で話を進められません。最低契約人数と初期費用の有無を明記し、最上位プランが「要問い合わせ」である理由を1行添える形が考えられます。
確認できた事実
プログラムが機械的に読み取った内容です。
トップページは32項目の機能一覧と5項目の他社比較表が中心で、料金は3プラン中1プランが「要問い合わせ」でした。無料トライアルは14日間の記載があり、終了後の扱いは確認できませんでした。
考えられる仮説
- ▪サイトが比較検討の終盤にいる人向けに組まれており、それ以前の段階で来た人が読む順番が用意されていない可能性があります。
- ▪料金の一部が「要問い合わせ」であるため、社内で予算の話に進めず、検討が止まっている可能性があります。資料請求と料金の問い合わせが多いことは、その現れとも読めます。
- ▪トライアル登録者に、比較のため複数サービスを同時に登録した人が含まれている可能性があります。その場合、登録数を増やすほど転換率は下がります。
- ▪機能が32項目並ぶことで、自社の申請フローを再現できるかどうかという最大の関心が、かえって判断しにくくなっている可能性があります。
別の可能性
その仮説が外れているとしたら。
- ▪トライアル中の体験そのものに課題があり、サイトの記載とは別の場所で離脱している可能性があります。
- ▪対象を中小企業としながら、実際に契約に至っているのは特定の業種に偏っている可能性があります。その場合、伸びていないのは転換率ではなく、集めている相手の構成です。
- ▪比較表の軸が、比較サイト側の掲載形式に合わせて作られており、意図的な選択ではない可能性もあります。
確認すべきデータ
- ▪トライアル登録者を流入元(比較サイト・検索連動広告・セミナー・記事)で分けたときの、有料契約に進んだ割合の差
- ▪14日間のうち、実際にワークフローを1本作成した人の割合と、そこまでにかかった日数
- ▪営業に寄せられる料金の質問のうち、最も多い3つの内容
- ▪セミナー参加者がその後どのページを見ているか
最初に試すこと
料金ページに最低契約人数と初期費用の有無を明記し、その1か所だけを変えて、料金に関する問い合わせの件数と内容が変わるかを1か月観察する、という試し方が考えられます。誌面全体の作り替えは、その結果を見てから判断できます。
今は断定できないこと
- ▪トライアル中の利用状況は外部からは分からないため、離脱が誌面の記載によるものか、製品の使い勝手によるものかは判断できません。
- ▪「要問い合わせ」を残している背景にある価格設計の事情は、社内の判断に属します。
- ▪有料契約に進む割合が同種のサービスと比べてどうかは、公開情報だけでは判断できません。
この6部構成は、当研究所のすべての観察記録で共通です。根拠のない点数は出しません。LABOの約束 →
AI所見の妥当な点と、SaaSの現場の事情
「比べたい軸で比べられない」という所見は、当たっていると感じます。導入を検討する担当者が本当に不安なのは機能の数ではなく、既存の申請ルールをそのまま載せられるか、載せられない場合に誰がルールを直すのか、という点です。この軸は比較表に載りにくく、そのまま営業との会話に持ち越されます。営業の工数が増えているという違和感は、ここから説明できる部分があります。
一方で、比較表が自社に有利な軸で作られること自体は、業界の慣行に近い面があります。比較サイト経由の流入では、掲載側の形式に合わせた機能比較の表が先に必要になることがあります。その表を前提に作った自社比較表が、そのままサイトに載っているという順番も考えられます。
「要問い合わせ」を残す判断にも、実務上の理由があります。規模の大きい商談で価格が先に固定されると、条件を調整する幅がなくなります。営業部門がこの欄を守りたがるのは自然で、Web側の一存では動かせません。動かすとすれば、公開する範囲を人数帯で区切るなどの折衷案から入ることになります。
実務なら、どこから着手するか
最初にやるのは、営業への聞き取りだと考えます。トライアル登録者との初回の会話で、最初に出てくる質問を30件ほど集めます。質問の多くが料金の内訳であれば料金ページ、自社の申請フローを再現できるかであれば別の場所が起点になります。着手先はこの記録で決まり、会議での議論では決まりません。
先送りしてよいのは、機能一覧の整理です。32項目を10項目に絞る作業は関係部署が多く、合意に時間がかかります。数を減らすより先に、上位3つに「この機能で何がなくなるか」の1行を足すほうが、早く結果を確かめられます。
巻き込む相手は営業とカスタマーサクセスです。転換率の話は、Web担当者だけでは動きません。トライアル開始から3日目に何が起きているかを知っているのは、その2部署だからです。3者が同じ数字を見る場を月1回置くだけでも、判断の速さが変わります。
この所見が外れる条件
AI所見は、転換率の課題が誌面の読まれ方と関係している、という前提を含んでいます。この前提が外れる条件があります。トライアル登録の大半が、比較のため3社を同時に触っている人であれば、一定の割合で契約に至らないのは想定内の状態です。
その場合に見るべき数字は、登録に対する転換率ではなく、比較検討に入った案件のうち最終的に選ばれた割合です。分母を変えると、同じ現象がまったく違う問題に見えます。着手の前にこの分母をどう定義しているかを確認しておくと、後の判断が楽になります。ここを曖昧にしたまま施策を並べると、何を直しても数字が動いたように見えない、という状態が続きます。
追記はスパークルの研究員によるものです。AIの所見と区別して掲載しています。
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