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ANALYZE解剖室2026-09-013分で読めます

研究テーマ:成果の確かめ方

Web広告の数字と、営業現場の感触が一致しない理由

「コンバージョン2倍」と「問い合わせの質が下がった」は両立します。数えている単位の違いと、間にある黒箱を整理します。

記事の性質
観察の場面は、複数の事例を組み合わせた架空の例です。特定の実在企業を観察したものではありません。
想定読者
マーケティングと営業の両方に関わる管理者
著者・確認
株式会社スパークル(研究員が確認のうえ公開)

観察

マーケティング担当は報告します。「今月はコンバージョンが2倍になりました」。

営業担当は首をかしげます。「最近の問い合わせ、質が下がっていませんか」。

どちらかが嘘をついているわけではありません。ふたりとも、自分の見ている数字については正確です。それでも話が噛み合いません。

仕組み

原因の多くは、数えている単位の違いにあります。

管理画面が数えているのは「フォームが送信された回数」です。営業が数えているのは「商談として成立した件数」です。この2つの間には、いくつもの工程があります。電話がつながるか。相手に予算があるか。決裁に関われる人か。時期は合っているか。

この間の工程は、多くの会社でどちらの数字にも現れません。マーケティングの管理画面はフォーム送信で終わり、営業の記録は商談から始まる。間が黒箱になっています。

  1. フォーム送信
  2. 連絡がつく
  3. 商談になる
  4. 見積を出す
  5. 受注
  • マーケティングが数えるフォーム送信フォーム送信
  • 営業が数える商談になる受注
fig.01同じ流れを、マーケティングと営業は別の区間で数えている。間の2工程は、どちらの数字にも出てこない。

さらに、コンバージョンの定義を広げると(資料請求を足す、簡易フォームにする)、送信数は増えます。増えた分の多くは検討の浅い層なので、営業側の「感触」は薄まります。数字の改善と感触の悪化が、同じ施策から同時に生まれることがあるのです。

よくある誤解

誤解1:どちらかの見方が間違っている。

両方とも正しく、見ている区間が違うだけです。「マーケは水増ししている」「営業は数字を読めない」という個人への評価に変わった時点で、構造の話ができなくなります。

誤解2:KPIを統一すれば解決する。

単位の違いは、統一しても消えません。フォーム送信と商談成立は別の出来事であり、両方を数える必要があります。統一すべきなのは指標ではなく、間の工程を両者が同じ表で見られる状態です。

確認方法

月次の集計ではなく、案件単位で1枚の表を作ってみてください。

工程件数の例
フォーム送信20
連絡がついた14
商談になった6
見積を出した3
受注1

この表があると、「コンバージョンが2倍」という報告は「表の1行目が2倍」という意味に変わります。どの行までその増加が届いているかを見れば、数字と感触の食い違いは、議論ではなく観察の対象になります。

小さな実験

直近のコンバージョン10件に、営業側の一言評価を付けてみてください。「商談化した」「連絡がつかない」「時期が合わない」「対象外だった」。

10件で傾向は断定できませんが、マーケティングと営業が同じ10件を一緒に見ること自体に効果があります。互いの数字がどこで途切れているかが、初めて共通の風景になります。

持ち帰れる確認項目

  • フォーム送信〜受注を案件単位で1枚の表にする
  • 直近のコンバージョン10件に、営業の一言評価を付ける

適用できない条件

  • 営業工程が無く、フォーム送信が受注と同義の事業
この話を自分のサイトで確かめる

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