研究テーマ:成果の確かめ方
クリックされなかった広告に、効果はなかったのか
クリック率0.5%の広告の、残り99.5%をどう数えるか。測れないものを「ゼロ」と数えるか「不明」と数えるかで判断が変わります。
- 記事の性質
- 観察の場面は、複数の事例を組み合わせた架空の例です。特定の実在企業を観察したものではありません。
- 想定読者
- 広告の費用対効果を判断する人
- 著者・確認
- 株式会社スパークル(研究員が確認のうえ公開)
観察
クリック率0.5%の広告があるとします。1,000回表示されて、5回押された計算です。
この広告を「99.5%は無駄だった」と読むか、「995回、社名と用件が目に入った」と読むか。同じ数字から、正反対の評価が出てきます。
展示会で考えると分かりやすくなります。ブースの前を通り過ぎた人のうち、立ち止まって名刺を出すのはごく一部です。では、通り過ぎながら社名の看板を見た人に、何も起きていないと言い切れるでしょうか。
クリックした5人
- ページを開いた
- 管理画面に記録が残る
見ただけの995人
- 社名が目に入った
- 扱っている領域が目に入った
- 何も残らなかった人もいる
- どちらも管理画面には残らない
仕組み
広告は、押されなくても読まれることがあります。社名、扱っている領域、一言の説明。この「見覚え」は、後日その会社を検索したとき、営業の電話を受けたとき、展示会で再会したときの受け入れやすさに影響する可能性があります。
問題は、この効果が管理画面では測れないことです。測れないものをどう扱うかで、判断が分かれます。
- 測れないから「ゼロ」と数える → 広告の価値をクリックだけで判断することになります
- 測れないから「ある」と信じる → 根拠なく出稿を続けることになります
どちらも、測れないものに勝手な値を入れている点では同じです。正確なのは「不明」と数えることです。そして不明のままにせず、間接的に確かめる手を打つことです。
よくある誤解
誤解1:クリックされない広告は失敗である。
クリックは広告の成果のひとつであって、すべてではありません。ただし、これを言い訳に使うと危険です。「クリックは少ないがブランディングになっている」は、確かめていなければ願望です。
誤解2:認知効果はどうせ測れないのだから、議論しても無駄。
直接は測れませんが、影は観察できます。出稿期間と指名検索数を並べる、営業先で「見たことがある」と言われた回数を記録する。厳密な証明にはなりませんが、判断の材料にはなります。
確認方法
2つの記録を並べてみてください。
- 広告の出稿期間と表示回数の推移
- 同じ期間の、社名・サービス名での検索数の推移
出稿中だけ指名検索が増えているなら、クリックの外で何かが起きている兆しです。変化がないなら、その広告は「見られていない」か「見られても残っていない」可能性を考えることになります。どちらの結果でも、クリック率だけを見るより一歩進んだ判断ができます。
小さな実験
いま出している広告から、リンク先とボタンを隠して、広告文だけを社内の人に3秒見せてください。そして聞きます。「何の会社の、何の話でしたか」。
答えられなければ、その広告はクリックされなかったとき、何も残していない可能性が高くなります。クリックの外の効果を期待できるのは、3秒で何かが残る広告だけです。
持ち帰れる確認項目
- 出稿期間と指名検索数の推移を並べる
- 広告文だけを見せて、何が残るかを社内で確かめる
適用できない条件
- クリックが唯一の目的である直接反応型の広告
関連する研究ノート
このテーマの観察は、SPARKLE MARKETING LIBRARY Vol.1 として書籍にまとめています。
書籍『広告を見た人は、どこへ行ったのか。』(Amazon) ↗