「詳しくはこちら」が弱い理由
リンクの文言は、その先で何が起きるかの予告です。予告のないリンクは押されにくくなります。
観察
あるサービス会社のトップページを上から下まで見ていくと、「詳しくはこちら」が5回出てきました。
サービス紹介の下に1つ。導入事例の下に1つ。会社案内の下に1つ。採用情報の下に1つ。お知らせ一覧の下に1つ。文言はすべて同じで、行き先はすべて違います。
同じページには「もっと見る」が2つ、「READ MORE」が1つありました。合わせて8つのリンクが、行き先について何も語らないまま並んでいることになります。
仕組み
リンクの文言は、その先で何が起きるかの予告です。読み手は押す前に「押したら何が出てくるか」を見積もっています。予告がないと、見積もりができません。見積もれない行動は後回しにされやすくなります。
もうひとつ、読み方の問題があります。多くの人は本文を最初から順に読みません。見出しとリンクだけを拾って、必要そうな場所を探します。この読み方をしたとき、「詳しくはこちら」からは何も拾えません。目に入っても、記憶にも判断にも残りません。
読み上げソフトには、ページ内のリンクだけを一覧で読み上げる機能があります。この一覧が「詳しくはこちら」「詳しくはこちら」「詳しくはこちら」と続く状態は、そのまま情報量ゼロの一覧です。
よくある誤解
誤解1:ボタンを目立たせれば押される。
色や大きさは「見つけやすさ」の問題です。押すかどうかは「中身の予測」の問題です。別々の課題なので、片方を直しても、もう片方は残ります。
誤解2:文言を強くすればよい。
「今すぐクリック!」は圧力を上げますが、予告にはなっていません。何が出てくるかは相変わらず分かりません。
予告として機能させるには、「動詞+対象」の形にすると考えやすくなります。
| 元の文言(行き先) | 書き換えの例 | |---|---| | 詳しくはこちら(サービス紹介) | 加工できる材質と寸法を見る | | 詳しくはこちら(導入事例) | 同じ規模の会社の事例を読む(3社) | | もっと見る(料金ページ) | 3つのプランを並べて比べる | | お問い合わせはこちら(フォーム) | 図面を送って加工できるか聞く | | READ MORE(お知らせ) | 今年の出展予定を見る |
書き換え後は文字数が増えます。増えたぶん、そのリンクが誰のためのものかも見えてきます。「同じ規模の会社の事例を読む」と書けるかどうかは、その先のページにそういう事例があるかどうかに依存するからです。文言を書き換えようとすると、中身の不足が先に見つかることがあります。
確認方法
- 1ページ内にある同じ文言のリンクを数えます。3つ以上あれば、そのページは行き先の説明を持っていない状態です
- リンクの文言だけを上から書き出して読みます。それだけで、そのページが何を提供しているかが伝わるかを見ます
- クリックを計測しているなら、汎用的な文言のリンクと、具体的な文言のリンクのクリック率を並べます
小さな実験
いちばん押してほしいリンクを1つだけ選び、文言を「動詞+対象」に書き換えます。他のリンクは触りません。
1つだけにするのは、変えた結果を切り分けるためです。全部を同時に変えると、何が効いたのかが分からなくなります。2週間ほど、そのリンクのクリック数と、その先のページからの離脱を並べて見ます。