研究テーマ:成果の確かめ方
広告の成果は、管理画面の外にある
管理画面に写っているのは入口だけです。BtoBで売上が動く場所はその先にあり、その先は写りません。証明ではなく、判断可能にする話。
- 記事の性質
- 冒頭の場面は、複数の事例を組み合わせた架空の例です。以降は研究員の経験則と考えです。
- 想定読者
- 広告の報告を受ける経営者・部門長と、報告する担当者
- 著者・確認
- 株式会社スパークル(研究員が確認のうえ公開)
半年かけて広告を運用し、クリック単価を3割下げた。表示回数も増えた。管理画面の数字は、どれを見ても前より良い。
それを報告した席で返ってくるのは、「で、売上はどうなったのか」という一言です。
この問いに、管理画面の中から答えることはできません。答えが、そこにないからです。
写っているのは、入口だけ
結論を先に言います。広告の成果のうち、管理画面に写っているのは入口だけです。 表示、クリック、フォーム送信。ここまでです。
BtoBで売上が動く場所は、その先にあります。そして、その先は写りません。
管理画面に写るもの
- 表示回数
- クリック
- クリック単価
- フォーム送信
写らないもの
- 社名で検索し直す
- 社内チャットにURLを貼る
- 上司に口頭で話す
- 既存の取引先に相見積を取る
- 稟議に上げる
- 営業が訪問する
- 受注
右側のほうが長い。そして右側は、どれも管理画面には出てきません。
出てこないものを「無い」ものとして扱うと、判断が狂います。クリック単価を下げる最適化は、入口を安くする最適化です。入口の先で何が起きているかには、何の関係もありません。関係のない数字を良くして、売上を聞かれて答えに詰まる。冒頭の場面は、こうして起きます。
「証明」しようとするから、苦しくなる
広告の効果を証明してほしい、という要望は自然なものです。お金を出す側として当然です。
しかし、右側が写らない以上、完全な証明はできません。できないものをやろうとして、写っている左側だけで成果をこしらえると、数字は良く、売上は動かない、という状態ができあがります。
この研究所では、こう言い換えています。証明ではなく、判断可能にする。
どこまでが写っていて、どこからが写っていないか。写っていない部分は、別の方法でどう確かめるか。この線を引けた時点で、広告は「信じるもの」から「判断できるもの」に変わります。
- 広告表示
- クリック
- フォーム送信
- 連絡がつく
- 商談
- 稟議
- 受注
- ▪ 管理画面が写している範囲:広告表示〜フォーム送信
- ▪ 売上が決まる範囲(写らない):連絡がつく〜受注
何を足せばいいか
右側を見るために、大がかりな計測の仕組みは要りません。実務で使えるのは、地味な方法ばかりです。
受注した1件の経路を、先方に聞いて遡る。フォーム送信から商談までを、月次の集計ではなく案件単位で1枚の表にする。社名での検索数の推移を、出稿期間と並べて眺める。
どれも管理画面の外にあるデータです。そして、どれも管理画面のどの数字よりも、次の広告の判断に効きます。
この研究テーマで見ていくこと
この記事は「管理画面の外側」という研究テーマの入口です。右側で起きていることを、場面ごとに1本ずつ書いています。
- クリックしなかった人は何をしているのか → 広告を見た人は、管理画面の外で何をしているのか
- 押されなかった広告をどう数えるか → クリックされなかった広告に、効果はなかったのか
- 数字と営業の感触が食い違う理由 → Web広告の数字と、営業現場の感触が一致しない理由
- 増えた数字が同じものを数えていない話 → 資料ダウンロード数だけでは、判断を誤る
この話は、書籍『広告を見た人は、どこへ行ったのか。』に1冊分としてまとめています。この記事の長い版にあたります。
持ち帰れる確認項目
- 管理画面が写している区間と写していない区間を、自社の流れで線引きする
- 受注1件の経路を、先方に聞いて遡る
- フォーム送信から商談までを、案件単位で1枚の表にする
適用できない条件
- 購入がサイト上で完結し、管理画面が売上まで写しているEC等の事業
根拠・参照
- 書籍『広告を見た人は、どこへ行ったのか。』(SPARKLE MARKETING LIBRARY Vol.1)
関連する研究ノート
このテーマの観察は、SPARKLE MARKETING LIBRARY Vol.1 として書籍にまとめています。
書籍『広告を見た人は、どこへ行ったのか。』(Amazon) ↗