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IMAGINE顧客心理研究室2026-09-013分で読めます

研究テーマ:顧客・社内の意思決定

研究開発・現場・購買。同じ資料の違う読まれ方

BtoBの資料は転送され、立場の違う読み手に拾い読みされます。全員向けに書くのではなく、居場所を分ける考え方です。

記事の性質
観察の場面は、複数の事例を組み合わせた架空の例です。特定の実在企業を観察したものではありません。
想定読者
BtoBの提案資料を作る人
著者・確認
株式会社スパークル(研究員が確認のうえ公開)

観察

1通の製品資料が、送り先の会社の中を移動していく様子を想像してください。

最初に受け取った技術担当者は、測定原理と限界条件のページで止まります。転送された製造現場の担当者は、段取り替えの手間と設置条件を探します。最後に回ってきた購買担当者は、価格の記載と、供給が安定している会社かどうかを見ます。

  1. 技術担当原理と限界条件
  2. 製造現場段取りの手間と設置条件
  3. 購買価格と供給の安定
fig.011通の資料が社内を移動する。読み手が変わるたびに、探しているものが変わる。

同じ資料が、3人にまったく別の文書として読まれています。そして3人のうち誰かひとりでも「自分の問いへの答えがない」と感じると、話はそこで止まることがあります。

仕組み

BtoBの資料は、1人に読まれて終わりません。社内を転送され、立場の違う複数の読み手に、それぞれの関心で拾い読みされます。

読み手探しているもの不安
技術・開発原理、限界条件、検証データ本当に性能が出るのか
現場・製造導入の手間、既存設備との相性仕事が増えないか
購買・管理価格、納期、供給の安定性この会社と取引して問題ないか

1つの文書ですべての読み手に同じ深さで答えようとすると、全員にとって「長いのに、自分の知りたいことが薄い」資料になります。必要なのは全員向けに書くことではなく、誰がどこを読めばよいかが分かる構造です。

よくある誤解

誤解1:決裁者に向けて書けば、話は通る。

決裁者が乗り気でも、現場の「運用が回らない」という一言で止まることがあります。逆も同じです。BtoBの導入は多数決に近く、反対者を作らないことが賛成者を作ることと同じくらい効きます。

誤解2:技術資料なのだから、技術者が読むはずだ。

最初にWebサイトを開くのは、情報収集を任された若手や、技術部門ではない企画担当であることが少なくありません。最初の読み手が「これは誰に回すべき資料か」を判断できるかどうかも、資料の性能のうちです。

確認方法

自社の主力資料を開き、各ページの余白に「このページは誰向けか」を書き込んでみてください。

全ページが技術者向けなら、現場と購買はこの資料の中に居場所がありません。彼らの問いへの答えは、いま誰が、どの場面で、口頭で補っているのかを確かめてみてください。

小さな実験

資料の冒頭に「立場別のご案内」を1ページ足してみてください。「性能の検証データは3章へ。導入時の設置条件は5章へ。価格と納期の目安は7章へ」という道案内だけのページです。

中身を書き換えずに、3人の読み手それぞれに「自分向けの部分がある」ことを最初に伝えられます。転送された資料が社内で迷子にならないための、最も安い手当てです。

持ち帰れる確認項目

  • 資料の各ページに「誰向けか」を書き込む
  • 冒頭に、立場別の読み方案内を1ページ足す

適用できない条件

  • 意思決定者が1人で完結する小規模な購買
この話を自分のサイトで確かめる

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