研究テーマ:技術・価値の伝わり方
「ワンストップ」「ソリューション」が何も伝えない理由
20社のうち13社が「楽しく」と書いているなら、「楽しく」は選ぶ理由になりません。業界の全員が言っている言葉=共通語が選ばれる仕組みと、条件の言葉への置き換え方。
- 記事の性質
- 冒頭の数字は、研究所が2026年8月に英会話スクール20社のトップページを機械で数えた実測値です。BtoBの言葉(ワンストップ等)の出現数は数えていません。書き換えの例文は架空です。
- 想定読者
- サイトや提案書の文を書く、BtoB企業の担当者
- 著者・確認
- 株式会社スパークル(研究員が確認のうえ公開)
観察
英会話スクール20社のトップページで、同じ言葉を何社が使っているかを、研究所は機械で数えました(2026年8月)。
「楽しく」は13社。「初心者」は12社。「アットホーム」は7社。
休んだ回の「振替」に触れていたのは4社でした。「担任」は2社、「休会」は1社です。
20社のうち13社が「楽しく」と書いているなら、「楽しく」は選ぶ理由になりません。読み手にとっては、書いていないのと同じです。
BtoBのサイトにも、同じ働きをしている言葉があります。「ワンストップ」「ソリューション」「トータルサポート」「柔軟に対応」。こちらは、研究所はまだ数えていません。ただし、競合のサイトを5つ並べて開けば、誰でも自分で数えられます。
仕組み
業界の全員が言っている言葉を、この研究所では「共通語」と呼んでいます。
共通語が選ばれる理由は、はっきりしています。嘘にならない。社内の誰も反対しない。競合も使っているから安心できる。
条件の言葉は、その反対です。「図面を受け取ってから3営業日で見積を返します」と書けば、守れなかった日に苦情が来ます。社内の確認で「そこまで書いて大丈夫か」と止まります。
書きやすい言葉ほど、どの会社も書く。書きにくい言葉ほど、書いた会社だけのものになります。
気持ちの言葉(多くの会社が書く)
- 楽しく 13社
- 初心者 12社
- アットホーム 7社
条件の言葉(書く会社が少ない)
- 振替 4社
- 担任 2社
- 休会 1社
よくある誤解
誤解1:共通語は消したほうがいい。
消しません。うしろに条件を足します。
「ワンストップで対応します」のあとに、「設計から組立まで、窓口は1人です。途中で担当が替わりません」。共通語は検索される言葉でもあるので、残す意味はあります。
誤解2:言い回しを変えれば、差が出る。
「トータルソリューション」を「包括的な価値共創」に替えても、読み手が知りたいことは何も増えていません。言い回しを凝っても、中身が同じなら同じです。
差が出るのは、数字と、条件と、やらないことを書いたときです。
確認方法
- 競合を5社選び、トップページを開きます
- 自社のトップページの大きな文字から、言葉を10個書き出します
- 10個のそれぞれが、競合5社のうち何社に出てくるかを数えます
3社以上に出てくる言葉は、共通語です。
小さな実験
共通語を1つ選んで、「たとえば?」と3回聞きます。
- 「柔軟に対応します」
- たとえば? 「急ぎの注文も受けます」
- たとえば? 「午前中に受け取った図面は、その日のうちに見積を返します」
- たとえば? 「金曜の夕方に来た依頼を、月曜の朝に納めたことがあります」
2回目か3回目の答えを、共通語のすぐうしろに足します。社内で「そこまで書いて大丈夫か」という声が出たら、その文は共通語ではなくなった、という合図です。
自社のページで、見出しと冒頭にどの言葉が立っているかは、伝わり方チェックでも確かめられます。その言葉が共通語かどうかは、競合のページと見比べて判断します。
持ち帰れる確認項目
- 自社のトップページの言葉10個が、競合5社のうち何社に出てくるかを数えたか
- 共通語のうしろに、条件の文を足したか
- 「たとえば?」を3回聞いたか
適用できない条件
- その言葉で検索されることだけが目的の見出し(検索される言葉としては残す意味がある)
根拠・参照
- 定点観測 予備観測 第0号(/observatory/eikaiwa-first-screen-2026)
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