研究テーマ:技術・価値の伝わり方
「導入◯社」は、何の◯社かを書かないと逆に働く
実績の数字は、正確に見えるぶん、正確に読まれます。何を・いつから・いまも、が書かれていない数字は、読み手の側で割り引かれます。
- 記事の性質
- 観察の場面は、複数の事例を組み合わせた架空の例です。特定の実在企業を観察したものではありません。
- 想定読者
- サイトに実績の数字を載せている、BtoB企業の担当者
- 著者・確認
- 株式会社スパークル(研究員が確認のうえ公開)
観察
サービスサイトの上のほうに、大きな数字が置かれています。
「導入実績 1,200社」
これを見た担当者が、上司に報告する場面があります。「1,200社に入っているそうです」。上司が聞き返します。
「それ、うちみたいな会社は何社あるの」
担当者は答えられません。サイトのどこにも書いていないからです。数字は、上司の前で一度つまずきました。
仕組み
数字は、正確に見えます。だから読み手は、正確に読もうとします。
何の1,200社なのか。いつからの合計なのか。無料で試しただけの会社は入っているのか。いまも使っているのか。
書き手にとっては、どれも当たり前のことです。当たり前だから書きません。読み手は、書いていないことを好意的には読みません。「都合のいい数え方をしているのだろう」と読みます。
数字が大きいほど、この疑いは強くなります。
- 数字を見る
- 何の数字か考えるいつから? いまも?
- 自社に近い例を探す
- 見つからない信頼の材料が、疑いの材料に変わる
- 上司に説明する
- 候補に残る
よくある誤解
誤解1:数字は大きいほど効く。
読み手が知りたいのは、全体の大きさではありません。自分と同じような会社が、その中にいるかどうかです。
従業員80人の部品メーカーの担当者にとっては、「1,200社」よりも「従業員100人以下の製造業で64社」のほうが、上司に持っていける数字です。
誤解2:細かく書くと、数字が小さく見えて損をする。
小さくなった数字は、疑われません。「2019年からの累計で1,200社。このうち、いまも契約が続いているのは830社」。830は1,200より小さい数字です。信じてもらえるのは、830のほうです。
確認方法
自社のサイトに出ている数字を、すべて書き出します。それぞれの数字に、次の3つが添えてあるかを見ます。
- 何を数えたものか(会社の数か、契約の数か、拠点の数か)
- いつからいつまでか
- いまも続いているものだけか、終わったものも含むか
3つとも無い数字は、読み手の側で割り引かれています。
小さな実験
いちばん大きく出している数字を1つ選び、すぐ下に小さな文字で1行足します。
- 「2019年4月〜2026年8月の累計。無料の試用は含みません」
数字そのものは変えません。
足せない場合もあります。社内の誰に聞いても、何を数えた数字なのかが分からない場合です。そのときは、数字を出し続けるかどうかを先に決めます。何の数字か言えないものは、聞かれたときに答えられません。
自社のページにどんな数字が出ているかは、マーケティング解剖室で外から見られます。URLを入れると、機械で拾った「実績の数値表現」が、確認できた事実の欄に最大5つ並びます。
持ち帰れる確認項目
- サイトに出ている数字それぞれに、何を数えたか・期間・いまも続いているか、が添えてあるか
- 読み手と同じ規模・業種の数字を出せるか
- 何の数字か言えないものを、出し続けていないか
適用できない条件
- 数字の範囲を、すでに注記しているサイト
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