研究テーマ:技術・価値の伝わり方
最初の画面で「誰向けか」を言わない会社が多い理由
英会話スクール20社の観測では、「何のスクールか」が分かるのは17社、「誰向けか」まで分かるのは9社でした。差の8社に起きていることを、会社の中の事情から読みます。
- 記事の性質
- 冒頭の数字は、研究所が2026年8月に英会話スクール20社のトップページを観測した実測値です。BtoB企業への当てはめは研究所の見立てで、数えたものではありません。
- 想定読者
- 自社サイトのトップページを見直したい、BtoB企業の担当者
- 著者・確認
- 株式会社スパークル(研究員が確認のうえ公開)
観察
研究所は2026年8月に、英会話スクール20社のトップページを数えました。
最初の画面を見て「英会話のスクールだ」と分かったのは17社。そのうち「大人が通える」まで分かったのは、9社でした。
差の8社は、何のスクールかは言えています。誰のためのスクールかを言っていません。大人向けのコースを持っていても、最初の画面には子どもの写真と、子ども向けのお知らせが並んでいました。
研究所の見立てでは、これは英会話だけの話ではありません。部品加工でも、業務システムでも、同じ形のトップページは作られます。「何の会社か」は書いてある。「誰のための会社か」は書いていない。
仕組み
「何の会社か」は、社内の誰に聞いても同じ答えが返ってきます。だから書けます。
「誰のための会社か」は、答えが割れます。営業は大手を取りたい。社長は、昔からの小さな取引先を外したくない。新しい事業の担当は、まだ取引のない業界を入れたい。
割れたまま最初の画面を作ると、誰も外さない言葉が選ばれます。「あらゆる業界のお客様に」「どんなご要望にも」。
誰も外さない言葉は、誰にも「自分のことだ」と思わせません。
- 01何の会社か20社中17社で読み取れた8社はここで止まっていた
- 02誰のためのものか読み取れたのは9社。8社は1段目で止まっていた
- 03その人に、何が起きるかこの観測では数えていない
よくある誤解
誤解1:対象を書くと、ほかの客が来なくなる。
最初の画面で対象を書いても、ほかの客を断ることにはなりません。2画面目より下で、ほかの対象に触れれば足ります。最初の画面の役目は、いちばん来てほしい人に「ここだ」と思ってもらうことです。
誤解2:写真を見れば分かる。
写真は、載せた側の思うようには読まれません。工場の外観の写真から、読み手は「大きい会社だ」とは読みます。「うちのような少量の注文も受けてくれる」とは読みません。
誰向けかは、文字で書かないと伝わりません。
確認方法
- 自社のトップページを開き、スクロールせずに見える範囲だけを見ます
- そこに、客の側を指す言葉があるかを探します。業種、会社の規模、役職、困りごと。どれか一つで足ります
- 見つからなければ、営業に聞きます。「先月、いちばん話が早かったお客さんは、どんな会社の、どんな立場の人でしたか」
3の答えが、最初の画面に書く「誰」の第一候補です。
小さな実験
最初の画面のいちばん大きな文の上に、小さな1行を足します。
- 「試作を急ぐ、設計担当の方へ」
- 「従業員50人までの会社の、総務の方へ」
大きな文は変えません。足すのは1行だけです。
足したあとの4週間、問い合わせの件数よりも、問い合わせてきた人の立場を見ます。書いた「誰」に近い人が増えたかどうか。
自社のページで何が読み取れるかは、伝わり方チェックでも確かめられます。URLを入れると、ページの冒頭に現れる言葉と、そこからは伝わらないことが、観察記録として返ります。
持ち帰れる確認項目
- スクロールせずに見える範囲に、客の側を指す言葉(業種・規模・役職・困りごと)があるか
- 営業に「いちばん話が早かった相手」を聞いたか
- 最初の画面に、対象を示す1行を足して4週間見たか
適用できない条件
- 社名で探して来る人がほとんどのサイト(すでに誰向けかを知っている)
- 対象を意図して絞っていない、総合的な窓口のページ
根拠・参照
- 定点観測 予備観測 第0号(/observatory/eikaiwa-first-screen-2026)
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